瀬島和世さんの日立駅とコキア

日立駅から見た太平洋つれづれ

先日あさイチを見ていたら建築家の瀬島和世さんが出ていた。

その昔、30年以上前に一度仕事で食事をさせていただく機会があり。
その時瀬島さんはまだ30代で、髪はちびまる子ちゃん風のざんばらカット。
グレーのスエット上下にどさバッグにサンダルといういで立ち。
おそらくヨージのものだったとは思うのだけど、六本木の高級中華でそれはかなりせめたファッションでした。
食事後六本木の街に消えていく後姿が強烈に印象に残りました。

そしてあさイチの瀬島さんの薄桃色のワンピースはこれまでテレビで見てきたどの女優さんやアイドルが着ていた服より素敵だった。
そして69歳の瀬島さんにとてもよく似合っていた。
瀬島さんはあの30代の頃からずっとおしゃれだったんだなと思いました。

わたしはあの頃瀬島さんの建築がとても好きだった。
当時表参道にそうそうたる建築家たちがいろいろな建物を立てていた。
安藤忠雄さんの表参道ヒルズ、隈研吾、伊藤豊雄。

その中でひときわ繊細で美しい純白のDiorビル。
青空をバックに美しさが際立っていた。

でも私は金沢の21世紀美術館も見ていないし、作品のほとんどを写真で見るだけだった。

あれから30年、わたしが生活や子育てに忙殺されている間、瀬島さんはずっと建築一筋に取り組まれてきた。
2009年に建築のノーベル賞と言われているプリツカー賞をとった。
世界で女性では二人目だ。

男社会で戦い、世界と戦い、30年以上どんな大変なことがあったろう。
建築の世界に女性が乗り込むことは本当に厳しいと思う。

現場の土建屋さんや大手ゼネコンいろんな人たちとのコミュニケーションが必要だ。
今でこそ女性の現場監督もいるのかもしれないけど、現場で実際に工事作業をする男たちになめられないようにするには相当の覚悟が必要だ。
当時は建築は男の仕事というイメージが濃くあった。
瀬島さんはアトリエ系のオフィスで働いていたから事務所で徹夜なんてことも多かったはずだ。




ということでどうしてもこの日立駅を見てみたくなり、1泊2日の茨城旅行に出かけました。

一日目はまずひたち海浜公園でコキアを見た。
まだ少し早いけどモコモコしてかわいかった。
平日のため人も少なく逆に人影もまばらな広大な公園を歩いていると心細いくらいだった。

海を見晴らすコキアの丘。

公演内にはグラスハウスというカフェがあり、インフィニティな感じに海を見ながらお茶が飲める。



国営なので入園料450円というのがうれしすぎました。


そして念願の日立駅へ。



暮れなずむ海を見ながら駅カフェで乾杯。
太平洋向きなので夕日は見れません。
海に浮かんでいるようなガラス張りのこの駅カフェは朝7時から開いていて、昇る朝日を見れるのですが結局翌朝その時間には起きられませんでした。。


どこまでも続く水平線。どこまでも続く白波。
そういうのを見ていて、瀬島さんの建物の羽衣のような軽やかさのイメージはこの白波からきているのではないかと勝手に考えました。
揺れてそして形を変える透明なレースのよう。

瀬島さんはアナウンサーに対して、もし美しいのだとしたら建築が美しいのではなく茨城の海が美しいのです、と謙遜されていましたが、これは少女時代にこの海を見てきた瀬島さんだからこそできた作品だと思った。

どうしたらこの海の美しさを見せられるか。
海をどう切り取るか。

地元の友達からお便りが来ていたけれど、瀬島さんありがとうではなく、かずちゃんありがとうという感じがぴったりだなと思った。

建築は巨大なのにあの小さな瀬島さんがまるでオーケストラの指揮棒を振るかのようにこの大きな美しい建築物を実現たらしめたのだなあと感動した。

こんな美しい建物が美術館やホールなどではなく普通の人が日常に使用する公共の駅というところがすごい。
見学するのも無料だ。

駅にはストリートピアノが置いてあって誰かがふらっと来て1曲弾いて帰る。

翌朝の日立駅。
駅ピアノの演奏が突然始まったのでブレブレですが(ふだん動画をとったりすることもないので)、この建築の美しさが少し伝わるでしょうか。



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