2025年夏の水族館にて

水族館のクラゲつれづれ

早い。
早すぎる。
いつの間にか8月です。

娘が韓国に留学し、1年半が経ちました。
そして先日韓国から知人が来日しました。

前回、ソウルを訪問した際に大変お世話になったため、今回は私がおもてなしで東京をご案内することになりました。
娘を通して親しくなった、わたしにとっては数少ない男のお友達。しかも外国人のオッパです。

とにかく暑いので、涼しいところをと思って品川プリンスホテル内の水族館をご案内しました。

というか自分がずっとクラゲを見たかったので。
村上春樹の小説に「僕」が平日の昼間に一人でクラゲをみるシーンがあって、ずっと一人で静かにクラゲを見たかった。
まぁ今回は一人ではないですが。

信じられない造形の、美しいクラゲをひとしきり見た後、あまり気乗りはしなかったですがイルカショーを見ました。

そしてイルカを見ているうちにある考えがバシャーンと降ってきました。

30年以上前に日本を代表する建築家の秘書をしていた。
ある晩お酒を飲みながら「言葉」の話になった。
建築家は言葉はダメだという。
言葉では表現できないものがあり、それを表現するのだと。

私は言葉は面白いと言った。
誰もが知っている言葉の組み合わせで人は考えを表現する。
個性が出る。

俳句が好きで、テレビはあまり見ないのですが、プレバトの俳句査定はよく見ます。
夏井先生を大尊敬しています。
添削された後の句の美しさに毎回鳥肌がたちます。
そして添削する際の言葉選びの的確さ、ユーモアにいつも感心します。

俳句は言葉を使うことによって言葉にできない「なんともいえない感情」を表現し、共有しようとする。
建築家や今回来日したオッパは建築や絵画、写真、映像などを使って「なんともいえない感情」を表現し、共有しようとする。

そしてイルカ。
イルカはあんなに高速で泳いでいるのに絶対ぶつからない。
あんなにせまいところで高速で泳いで仲間同士ぶつからないのだ。
鳥もそう。
無数の鳥が編隊を組んで飛ぶとき、仲間同士絶対にぶつからない。
それはイルカや鳥が超音波を出しているから。

テレパシー。

結局人はこのテレパシーを使いたいのではないか。

「なんともいえない感情」を自分以外の誰かに伝えたい。

夕焼けで空が真っ赤に染まり、公園も友達の顔も真っ赤に染まった瞬間。
通り雨のあとの清々しさ。
朝練に向かう夜明け前の静寂。

まだまだたくさんある。
言葉にできない。
得も言われぬ感情。
そういう心の動きを自分以外の人に伝えたいんだ。
人は得も言われぬ感情を共有するテレパシーを使いたい。

そうなんだきっと。

イルカ、建築家、韓国のオッパ、この3つが合わさったこのとき、そんな考えが突然ぱっと浮かびました。


それにしても水族館か・・。
娘が留学して1年半。
留学する前には想像もできなかった夏の一日を過ごしている。

ここ最近までは子供を喜ばすために水族館や動物園に行っていた。
今回は自分がクラゲを見たくて行った。
心から楽しんだ。子供みたいにはしゃいだ。

これからはもっともっともっと自分のことを考えていこう。
自分は何が好きなのか。何をしたいのか。

娘は娘の航海に乗り出してすでに沖に出ている。
もうその背中は見えなくなった。

わたしは私自身のコンパスに従って舟をこいでいけばいい。
目の前は大海原だ。

人生は何が起こるかわからない。

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