対面と非対面~33年前のメタバース

空港のアイドルの広告つれづれ

こんにちは~。
絶賛韓国留学サポート中のワンオペ母です。

ワンオペ母が転職を決意したもう一つの理由ですが、それは在宅が週3から週2に減ったこと。



なかなか理解されないかもしれないですが、わたしのような神経質で過敏な人間にとって、リモートワークは切実な働き方です。

30代後半、会社生活はある意味もう無理だと悟り、出産子育てに専念することにしました。
だけど金銭的な理由により、15年ぶりにフルタイム復帰をしたのですが、そこでもやっぱり無理だと思いました。

そんな中コロナ渦が起きた。
最初はこの得体のしれないウイルスへの恐怖でパニックになった。
みんなそうだと思う。

だけど振り返ってみれば、あのステイホームの安息の日々。

そしてリモートワーク。
これは幸福の一つの形だと思う。
家にいてリラックスしながら輝ける。力を発揮できる。

わたしたちはコロナ渦の4年間で、そういう新しい働き方、人とのつながり方、人間関係の築き方を確かに学び会得し、進化したはずなのに。

晴れの日は布団を干し、雨がふったら洗濯物をとりこみ、始業前にジョギングをし、昼休みにオンライン英会話レッスンを受け、夕飯は17時ぴったりからつくりはじめられるのでおかずも一品増えた。

幸せだった。
そんな人間らしい生き方をしながら給与も受けられるなんて。

地獄の満員電車も回避でき、苦手な同僚と顔を合わせる頻度も減り、週2回会社の人の顔を見てコミュニケーションをはかる。それの何がいけないのだ。

そもそもSDGSを考えるのなら人は無駄に移動すべきではない。

対面なら、偶発的な対話が生まれ、より良いアイディアが生まれる。
たしかにそういうことはあるだろう。

が、私などグローバルな会社で働き、仕事仲間は海外各国にいる外国人のアシスタントたち。
みんなプロだから仕事さえきっちりすれば気持ちの良い関係が構築できる。
一体感を持って楽しく仕事をすることができた。

対面で仲良しこよししないと相手に良い仕事をしてあげないなんてプロじゃない。
相手とどういう関係性であろうと仕事は仕事、ベストをつくす。
それがプロというものだろう。

あの仕事は対面だったか?いや違う。声さえ聞いていない。
それでもいつか機会があれば会ってみたいと思うほどだ。



娘が小5の頃とても好きだったボカロや初音みく。
思春期になってどんな音楽を好むようになったのか興味津々だった私。
でも相手は人じゃなかった。

カラオケで椎名林檎を歌ったら、家でPCで再生していたので、やっぱりいいよね林檎ちゃんと思ったら、それは初音ミク版だった。

最初はちょっと受け入れられなかった。
やっぱり人間じゃなきゃ。
人間が実際に歌うのが一番いいんだし、人工的なものなんて。

と思ったが、思春期になって自分を確立しはじめた娘を理解するのに、そしてその娘と心の底から交流したくて、まずはいっぱい聞いてみた。

伝え方が違うだけだ。

ボカロや初音ミクやバーチャルユーチューバーは対面か?

かれらは時に人に行動変容を促し、極端な話、人の生き死にに影響を及ぼすこともあるのではないか。
人の心を熱くし、前向きにし、明るく照らしていないか。

そんなコロナ渦のある日、テレビでメタバースについて特集していた。

メタバース。仮想空間。

そこではたとあることを思い出して息をのんだ。

その昔20代の頃に、世界的な建築家の秘書をやっていた。
そのけた外れの天才ぶりに、いつも近くにいて震えるほどだった。
つくるものの美しさに体の芯からしびれ、尊敬していた。

マスコミ嫌いで絶対にテレビに出ない。
今は日本を代表する芸術の大学の名誉教授になられた。

その方が業界誌に投稿した論文の中で、1つだけ、それはちょっと納得できないなぁ、と思ったことがあった。
そのことがずっとひっかかっていた。それだけはうまく理解できない。

1990年。

Windows95が発売されたのが1995年だから、インターネットはおろかパソコンがなかった。
ワードプロセッサーをぱちぱち打ってた超アナログな時代。

そんな時代に「人は近い将来すべてを自分の部屋で完結するようになる」と書いていた。

何言ってるんだ。

私は裸足で野山を駆け回っているような子供だった。
自然の美しさ、偉大さ、ダイナミックさに包まれて育ち、頬にあたる風の感触、草いきれのむっとするにおい、雨上がりのにおい、日差しのあたたかみ。

においや触覚や全体感を心から信じていた。

だから頭でっかちに部屋で完結だなんてありえない。

だけど今、人はバーチャルにつながり、インターネットで世界中のどの場所の情報もすぐ隣のことのように感じ、オンラインでライブコンサートに参戦し、品物はAmazonで買って、テレビ電話で会議をして、チャットやメールでコミュニケーションをとって、服もご飯もネットで買える。

コロナ渦でそれを一層深化させた。

33年前のあのとき、建築家が言っていたのはこのことか。
スマホはおろかパソコンもネットもない完全にアナログな時代に、このことを言っていたのか。

グローバルにつながる世界。
そして目の前にはメタバースが広がっている。

それらは対面なのか。

今はネットで結婚相手を探すような時代だ。

対面でなくても人は人と繋がれるし、交流できるし、感情も動くし、信頼もする。

出社を週2から週3にすることで、会社に帰属意識が生まれて偶発的なアイディアも生まれ、エンゲージメントが高まるという考えでは、もう人は集まらないと思う。

今、若い人は転職を超ポジティブに考えている。
40年会社にいようなんて人はもういない時代なんだと思う。
しかもみんな英語をよく学び、働く相手も場所もワールドワイド。

会社に出社しないと仲間意識が生まれないなんてプロじゃない。
会社に出社しないと帰属意識がわかないなんて、そんな考え古すぎる。
私たちはいやおうなしに進化しているし、一度得た能力に蓋をすることはできない。

インクルーシブ。

会社に来たい人は来ればいい。家でやりたい人はやればいい。
1人暮らしで一人で孤独にやるのはいやだという人もいれば、子育てや介護のために在宅でやりたい人もいる。

それに、来たくても来れない人だっているんだよ。
みんなのことは好きだけど会社だと気を使って消耗する私のような弱者。

いろんな人がいる。

そして日本ではその数自体が減っているのだ。

口先ばかりじゃだめだ。

多様性を認めないならそこに未来はない。
多様性を認めないならその方がよほど危機的である。

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